野辺:たしか、2018年頃だったと思います。当時、メルカリでの取引量が増え、(荷物を発送する場所の中心となっていた)コンビニエンスストア業界内でも「このままメルカリの発送をすべて受け続けて、大丈夫なのか?」と議論がされるようになっていました。

さらに、(メルカリの)アプリ内においても配送メニューが複雑化しており、ユーザーにとって“わかりやすい”ものとは言えなくなってきていました。

そうした状況を踏まえ、(メルカリ代表取締役CEOの)山田進太郎をはじめとした経営陣とともに、「ユーザー体験の向上」と「パートナーへの負担軽減」の2軸で考えたときに、「社会的責任を意識して、もっと物流にも投資していくべき」とディスカッションをしたことが起点になっています。

実際にユーザー調査をしてみると、「カウンターで発送だけのために列に並ぶのが面倒」という意見が多かったんです。そこで荷物の発送における体験向上へのニーズが高いことを感じました。そこから取り次ぎの負担自体を減らすために試験的に始まったのが、メルカリポストです。

メルペイの全国約234万の加盟店のうち1000ヶ所で対面の接客なしで発送できる「メルカリポスト」
メルペイの全国約234万の加盟店のうち1000ヶ所で対面の接客なしで発送できる「メルカリポスト」

そこから、さらに集荷メニューを広げていくと中型・大型の荷物の取り扱いや梱包作業の手間といったニーズがどんどん生まれていき、オフラインのタッチポイントの重要性を実感しました。そこで立ち上げたのが、メルカリを体験しながら学べる旗艦店「メルカリステーション」(東京・新宿、武蔵小杉のほか、期間限定で全国各地のマルイなどで展開するメルカリの実店舗)です。

メルカリステーションによって、オフラインのタッチポイントの投資対効果が見えてきたところで、そこから先の集荷も含めたネットワークの構築と集荷の過程で付加価値を提供していく余地の大きさを感じました。そこから、メルロジ設立の検討が始まりました。

進藤を含め、ロジスティクスのバックグラウンドを持つメンバーに入ってもらい、仮説検証を実施。ようやく事業化の判断ができたため、今回の発表となりました。

──ユーザー体験向上とロジスティクスパートナーの負担軽減のために選択肢を増やしたものの、わかりづらくなってしまった部分もあった。そこをメルロジによって単純化しよう、と。

野辺:メニューの拡大と使いやすさを両立する。そのための意思決定ですね。2021年11月時点では、コンビニエンスストア各社ごとにアプリ内での遷移、サービス名や金額などに差があり、非常に配送メニューが複雑化していました。それらを一本化するために、メルカリが物流領域に参入する必要がある、と決断したんです。