ユーザー2000万人のデータを活用、効率的な集荷物流網を構築

──今回は集荷の部分にフォーカスされていますが、メルロジ独自の強みは何でしょうか。

進藤:先日の会見でもお話ししましたが、強みは「データを駆使したエリア展開」「自社タッチポイントの活用」「集荷過程での付加価値提供」の3つです。

その中でも最大の強みは、メルカリユーザー2000万人のトランザクションデータを保有している点です。膨大なデータから導き出されるユーザーのニーズを、物流サービスへとフィードバックしていける。ユーザーの声をもとに協業するロジスティクスパートナー企業にとっても理想のネットワーク構築に向けて改善していける点は、他にはない強みだと思います。

──データをもとに物流サービスを改善した具体的な事例はありますか。

進藤:まだ実例はありませんので、仮説検証段階の話をさせてください。

例えば、通常のECサービスの場合、出荷時間のトランザクションを見ると夕方から夜にかけて上がっていく傾向があります。しかし、メルカリの場合は自分で梱包して出勤前に出荷する方が多いのか、朝から昼の時間帯に寄っている傾向がありました。

メルカリの場合、本来は午前中に集荷をすれば効率的です。ただ、一般的な配送会社のオペレーションと組んだ場合、(集荷量の母数が多い)他のECサービスと同様に夕方集荷するネットワークに乗ってしまう可能性があるわけです。

そこを私たちが自前で集荷物流網を構築し、テコ入れしていけば、配送会社が業務を平準化するきっかけになるかもしれない。また、ユーザーにとってもより早くお届けすることが可能になるかもしれない。このような仮説を構築できること自体、私たちがトランザクションのデータを扱える大きなメリットだと思います。

いずれは、集荷状況をリアルタイムで把握し、車の積載量に合わせて回っていく順番を構築できれば、また新しい独自のネットワークがつくれると思っています。

競合意識はない。配送会社とも協業

──物流サービスを手がける会社を立ち上げるとなった場合、「既存のロジスティクスパートナーとのコンフリクトは大丈夫なのか」という疑問も生まれると思います。

野辺:集荷における最大の課題は、ユーザーも配送会社もコンビニエンスストアに依存しきっている点にあります。例えば、私たちが「こういうサービスをつくりたい」となったときに、「ロジスティクスパートナーの合意は得られたのに、(業務負荷が増すため)コンビニエンスストアに断られた」ということが起こり得るわけです。