「海外の大手企業は、サブセグメントを埋めるように企業グループを形成し、『プラットフォーム戦略』を取っています。日本のゲーム企業も、全サブセグメントに子会社も含めたプレーヤーを置くなり、プラットフォーム企業グループ内に入るなり、これまでとは違う動きを検討をするべきです」(垣屋氏)

海外を見渡すと、2010年代以降、北欧のゲーム関連企業の進出が目覚ましい。スマホゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」などを開発するSupercell、ゲームエンジンを提供するUnityやHavok、eスポーツ大会を主催するTurtle EntertainmentやDreamHack、マルチプラットフォームで愛される人気タイトル「Minecraft」を世に出したMojang Studioといった、北欧発企業の多くは、モバイルデバイスの台頭をきっかけに芽を出した。

こうした有力企業をM&Aによってグループ傘下に取り入れ、ゲーム産業のサブセグメントを埋めていく動きが、世界的には活発になっているのだと垣屋氏はいう。

中国・深センに本拠を置くTencent(テンセント)は特に、このプラットフォーム戦略が顕著に見られる。売上高ベースでは世界最大級のゲーム会社でもあるTencentは、M&Aを通じてゲームとeスポーツのプラットフォームを構築。ゲーム開発会社だけでも6社、ライブストリーミング配信企業も3社を傘下に持ち、4つのゲーム大会を主催する。

「Tencentは、SupercellやEpic Games、Activision Blizzardといったゲーム開発会社や、Bilibiliほかの動画配信プラットフォームなど、複数の世界的ゲーム関連事業会社の大株主です。各セグメントで有力な企業を見つけては資本関係を結んで、自分たちの社名こそ前に出ませんが、どんどんプラットフォームを広げている状況です」(垣屋氏)

米国でも、Microsoftが家庭用ゲーム機シリーズを核とするXboxブランドを擁するほか、Minecraft開発のMojang StudioをM&Aにより傘下に入れた。さらに2020年にはゲーム開発・パブリッシャーのZeniMax Mediaを75億ドル(約8500億円)で買収している。これはMicrosoftの過去の企業買収の中ではLinkedIn、Skypeに次ぐ高額でのM&Aとなった。