伸びをする女性写真はイメージです Photo:PIXTA

会社、家庭、学校と、すべての場所で“きちんと”していることが求められる日本に、生き辛さを感じる人は多いでしょう。しかし、日本よりもはるかにGDPが低いマレーシアでは、子育て世代が楽しそうに生活しています。それはなぜでしょうか。自身もマレーシアに移住して10年がたち、イライラが減ったと話す野本響子氏の著書、『東南アジア式「まあいっか」で楽に生きる本』(文藝春秋)から、一部を抜粋・編集してお届け。マレーシア人の考え方に触れることで、「そういう考えもあるのか!」と少し気持ちが楽になるかもしれません。

親が人生を楽しむ

 マレーシアに来るとまず家族連れが多いことに気づきます。1990年代、3人の幼児のいる家族と一緒に旅行したのですが、どこに行っても子どもが歓迎され、可愛がられることが不思議でした。

 私自身も、幼児連れで何度かマレーシアに来ましたが、中学生の男の子たちや、マンションのセキュリティ・ガードの人たち、お店の店員さんが子どもと遊んでくれました。

 現地メディアの取材旅行に子連れで来る家族がいますが、その子はいつも親ではない誰かに抱っこされています。それも男性が楽しそうに面倒を見ていることが非常に多いです。社交辞令ではなく、歓迎されている感じがあります。

 親がリラックスしていると、子どもも落ち着きます。

 繰り返しになりますが、日本の方が国の補助や制度はずっと整っているのです。しかし、社会の包容力が違うので、非常に楽に感じるのかもしれないなと思いました。

「正しさ競争をしているわけではない」世界で、「ちゃんとしない人(=子ども)も受け入れてもらえる感じ」が気楽なのです。

 何より良いなと思うのは、ここには、「人生を楽しもう」という親が多いことです。

 小学校の行事では、子どもより親の方が楽しそうでした。

「親が楽しまなくてどうする」

 このセリフを、何度言われたでしょうか。

 私は10年近く、近所のスポーツジムに通っていますが、赤ちゃんを預けて来る親がいます。

 1990年代半ばに子ども3人を預けて夫婦で東京に遊びに来たマレーシア人夫婦と会いましたが、マレーシアに来て、それが決して珍しいことではないと知りました。もちろん、内心、それをよく思わない人びとも中にはいるでしょうが、必要以上に他人に口を出しません。宗教も習慣も違う人びとが住んでいるので、他人を簡単にジャッジできず、「mind your own business(自分のことに集中せよ)」と言われます。

 一方で、日本から来る方には、日本に比べてマレーシアは「ちゃんとしてない」と言われることもあります。「ちゃんとしてない」のは人びとだけでなく、社会全般にも及びます。

 もちろん人によって、受け取り方は異なるでしょうが、少しご紹介します。