「進むべき道」という物語が
会社をまとめる

 ビジネスにおける「物語」の使い方で有効なのは、これから自分たちの会社やお店が進むべき道を示す場面です。

 商売をする時、どうしても生活者や取引先、いわゆるお客さんに目がいきがちです。もちろんそれらは大切なのですが、実はそれ以上に従業員や自分の家族から支持してもらうことが必要です。身内の支持なくしては、長く成長していくことは難しいからです。

 まずは、従業員など身内からファンになってもらう必要があります。

 その際に役に立つのが「物語の力」です。

 会社やお店が持っている「志」「理念」「哲学」「世界観」「ビジョン」「ミッション」(流行りの言葉でいうと「パーパス」)などは、外部だけでなく、内部に向けてもきっちり発信していきましょう。いわば会社やお店が「進むべき道」を示すということです。

 このような場合に「物語」はとても有効です。

 物語はなぜ有効なのでしょうか?

 それは「物語」を語ることによってイメージが共有されるからです。

書影『ストーリーブランディング 100の法則』『ストーリーブランディング 100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)
川上徹也 著

 会社の従業員たちにイメージが共有されると、そこに向かって一緒に歩んでいこうという気持ちになります。いわば暗闇に光る北極星のような役割を果たすのです。

 そうやって内部に「志」「理念」「哲学」「世界観」「ビジョン」「ミッション」などのイメージが共有されてくると、徐々に外部にもそれらのイメージが伝わっていきます。

 それらの「物語」に共感してくれたお客さんは、その会社やお店を支持しファンになっていきます。結果として長く売れ続けるのです。

 さらに社員の採用にも効果が見込まれます。あなたの会社やお店が発信する「物語」に共感した学生たちや他の会社の社員が、一緒に働きたいと思うようになります。

 これも「物語の持つ力」です。