満足してもお客さんが
リピーターにならない理由

「顧客満足Customer Satisfaction(CS)」というマーケティング用語があります。

 1980年代にアメリカで提唱され、しばらくして日本にも導入されるようになりました。それ以降、多くの企業は、お客さんの満足を目指してきました。

 もちろん「顧客満足」は今でも重要ですし、大企業やチェーン店であればリピーターに繋がる要素です。

 しかし、もしあなたの会社やお店が、大企業やチェーン店でないのだとすると、たとえお客さんが満足したからといって、リピーターになってくれる可能性は低いでしょう。

 お客さんの立場になれば、その理由は容易に想像がつきます。たとえば、以下のようなシチュエーションで考えてみてください。

・誰かと初めてそのお店で食事をした。普通においしくて値段も適切で、その日は満足した。ではその店に通いつめるでしょうか?
・家族旅行で行った温泉旅館。みんな「よかったね」と満足したからといって、翌年もまたその旅館に行くでしょうか?
・価格比較サイトで電化製品の最安値を調べて通販で購入し、約束通りの商品が約束通りの期日で送られてきて満足したからといって、また次もそのショップを利用するでしょうか?

 必ずしもリピーターになるわけではないですよね? なぜでしょう?

 それは「強く印象に残らなかった」からです。より直接的な表現を使うと「忘れてしまった」のです。

 チェーン店であれば、どこにでもお店があるので、忘れていてもすぐに思い出すことができます。利用する時、必要以上に大きな期待もしていません。だから、チェーン店は顧客満足のレベルでもリピーターになってもらえます。

 有名な大企業でも同様です。名前を知っているというだけで安心に繋がります。CMなどを見て思い出す機会もあるでしょう。満足すればリピーターになってもらえる確率は高くなります。

 しかし、小さな会社やお店の場合は違います。「顧客満足」だけではお客さんは本当の意味での「満足」をしてくれません。「満足」は当たり前。満足しただけでは強く印象に残りません。だから忘れてしまい、リピーターになってもらえないのです。

 あなたの商品、会社、お店が売れ続けるためには、満足の上をいく、心に響く何かを提供する必要があります。それで初めて、お客さんの「記憶に残る」ことができるのです。

 そのために必要な要素が「物語(ストーリー)」なのです。