「今日も残業だ」「仕事が終わらない」と悩む多くの人々に、世界を一変させた「Windows95」の設計思想を生み出した伝説の日本人が、「期限までの日数の2割で、仕事の8割を終えて後は流す」という驚異の仕事術を解説する。本稿は、中島聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(文響社)の一部を抜粋・編集したものです。
「2:8」の法則で仕事をしよう
立ち上がりは集中して残りは流す
私は10日間の仕事なら最初の2日で8割を終わらせることを信条としています。そうすれば、締め切りまでの残りの8割の期間はのんびり仕事ができるからです。私はこの時間を「流し」で仕事をする、と呼んでいます。
のんびりといっても、それでは残った2割を終わらせられないので、ここでも最初の2日と同じく界王拳を発動します。
界王拳とは、有名マンガ「ドラゴンボール」の主人公・孫悟空の技です。
孫悟空の師匠・界王に「元気玉」とともに伝授された必殺技で、界王拳を使用すると全身が赤いオーラに包まれ、戦闘力が飛躍的に上昇するのです。たとえば「3倍界王拳」を使うと戦闘力が3倍になります。ちなみに作中では2倍界王拳から20倍界王拳までが登場しています。
この界王拳を3日目以降も、1日の間に数時間だけ発動します。どういうことでしょうか。
「流し」の3日目以降も、私は朝4時ごろに起きて仕事を始めます。顔を洗ったら、コーヒーを滝れたりもしないで、とにかく一瞬も隙を作らずにメインの仕事を始めます。
6時半ごろには朝ごはんを食べます。なぜ6時半かというと、そのころには家族が起きるからです。それまでの2時間半は、誰にも邪魔されない静謐な環境が保たれるので、仕事に集中できます。
私はその2時間半にも界王拳を使っているのです。具体的には10倍界王拳です。
そのあいだはメールも見ませんし、電話にも出ません。会議や打合せなどは昼以降に回します。そもそも午前中にメールが来ていたとしても、界王拳を使っているときに返信する必要があるでしょうか。せっかく体力を使っているのだから、本体業務に集中するほうが得策です。
ここで意識してほしいのは、この1日の最初の2時間半で、1日のメインの仕事の8割を終わらせることです。2:8の法則は1日の中でも当てはまるのです。
10日間の仕事を最初の2日で8割終わらせるのと同様に、1日ごとに割り振った仕事も最初の2時間半で8割終わらせるのです。そのためこの2時間半は可能な限りトイレにすら行きません。息を止めて仕事をしているようなイメージです。