人工知能(AI)市場が米半導体大手エヌビディアの一人勝ちになるはずはなかった。
だがこの1年、そうなるように感じられたのは確かだ。エヌビディアの売上高は2倍以上、時価総額は3倍以上に膨れ上がった。1年前のチャットボット「ChatGPT」登場をきっかけに生成AIへの関心が爆発的に高まり、これに乗じようとテック大手がエヌビディアの半導体を買いあさったことが背景にある。一方、同社の2大ライバルである米インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)では、データセンター関連の売上高が足元で減少している。ネットワークを運営するテック企業がAIに特化したエヌビディアのプラットフォームに支出を振り向けたためだ。
インテルとAMDはこの状況を改善する必要がある。早急にだ。両社は依然として、成熟し成長が鈍化しているパソコン市場から多くのビジネスを引き出しており、売上高全体を伸ばしたければデータセンター事業により大きな比重をかける必要がある。この方向転換で過去数年大きな成功を収めているのはAMDだ。技術面での躍進と、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)との巧みな提携により、データセンターで使用されるCPU(中央処理演算装置)市場でインテルからシェアを奪った。AMDのデータセンター向け売上高は昨年64%増加したのに対し、インテルは15%減少した。