28日、AWSのイベントに登壇したエヌビディアのフアンCEO(右)とAWSのセリプスキーCEOPhoto:Noah Berger/gettyimages

 米アマゾンは今週、優れたAIショーを披露する必要があった。そこで手を差し伸べてくれたのは、思いがけない友人だった。

 電子商取引の巨人であるアマゾンは、世界最大のクラウドコンピューティング事業も運営している。実際、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は今ではIBMやオラクルを大幅に上回る年間売上高を稼ぎ出し、業務用ソフトウエア・関連サービス市場でマイクロソフトに続く2位につけている。だが、ちょうど1年前に生成AI(人工知能)チャットボット「チャットGPT」が公開されて以来、マイクロソフトがAI技術に積極進出していることから、この分野でアマゾンはクラウド事業の最大のライバルである同社の後塵(こうじん)を拝していると考えられてきた。

 そのためアマゾンは28日、ラスベガスでの年次カンファレンス「AWS re:Invent」を利用し、生成AIに大きく傾倒していることを知らしめた。マイクロソフトの生成AIツール「コパイロット(Copilot)」の業務用バージョンのような「アマゾンQ」という独自のチャットボットまで発表した。だが最も注目に値するのは、半導体大手エヌビディアのジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)が登場したことだ。フアン氏はAWSのCEOであるアダム・セリプスキー氏と共に登壇し、両社の「提携関係の拡大」を明らかにした。エヌビディアは来年、「スーパーチップ」とも呼ばれる高性能GPU「H200」の出荷を開始するが、AWSはこれを使ったサービスを提供する最初のクラウド企業になる。