国家を守るため極限の状況で仕事をする公安警察。その「禁断の仕事術」を学ぶ全4回シリーズ。第3回は「人脈構築」。名刺交換はした後、そのまま放置していませんか。人との関係を深めることができず、頭を抱える人は多いのではないだろうか。公安部外事課に所属した経歴を持ち、ドラマ『VIVANT』(TBS)の監修を務めた勝丸円覚さんに「人の懐に入る方法」を解説してもらった。(セキュリティコンサルタント 勝丸円覚)
闇雲に動かない
公安式「人脈構築術」
前回は、一度繋がってしまった人と「関係を絶つ方法」について、公安警察時代のエピソードを交えてお伝えしました。一方で、ビジネスパーソンがいつの時代も関心があるのは、「人脈の作り方」ではないでしょうか。
公安警察という職業柄、あらゆるところに人脈を張り巡らせておかないと、いざという時に対応できませんでした。人脈は一朝一夕で構築できるものではありませんので、もしつながりたい人が定まっているならすぐに動き始めたほうがいいでしょう。
私は通算で20年以上、警察官として働いてきました。その半分以上を公安警察官として過ごし、初期の任務は、ロシアスパイ捜査でした。いわゆる秘匿捜査というもので、身分を完全に隠して、任務にあたるというものです。その後、アフリカ某国の日本大使館に赴任するよう辞令を受けました。ただ大使館勤務で、現地日本人や同僚などに顔も名前も晒してしまったので、秘匿捜査に戻ることができませんでした。警視庁に戻ったときに、都内にある150以上の大使館と警視庁の連絡役を務めることになりました。
私が公安警察官時代に経験したことをもとにエピソードを交えて、人脈構築の方法をご紹介していきます。闇雲に動いても、ターゲットに食い込むことはできません。