売り手市場でも侮れない
「内定格差」の実情
当初こそ、業種・企業によって新卒の採用数削減・採用中止といった動きが見られたが、実際はコロナ禍前から続く人手不足や、過去の経済危機時に採用を抑制した影響で景気回復期に深刻な人手不足に陥った教訓などから、企業の採用意欲は予想以上に堅調で、就職率はそれほど落ち込まなかった。
むしろアフターコロナに入り、採用活動の早期化・長期化が進んで、「売り手市場」となっている。
たとえば、リクルートワークス研究所の調査では、2024年卒の求人倍率は1.71倍と、23年卒の1.58倍より0.13ポイント上昇し、コロナ禍前の水準(15年卒以降の1.6倍以上)に戻っている。就職(内定)率についても22年卒、23年卒に比べ6月以降の数値が大きく上昇している。
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また、ダイヤモンド・ヒューマンリソースの調査では24年卒の7月初旬時点での平均内定数が2.94社と過去最高レベルになった。
ただ、コロナ禍が遠のいた現在も「就活生の二極化」は解消されていない。早めに動き始めて多くの内定を獲得する層と、流れに乗り切れずに苦戦する層にはっきり分かれているのだ。売り手市場といいながら、夏以降も内定が決まらず、新卒向けの人材紹介会社に助けを求める学生もいる。
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