「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第4弾は「新しい時代の人をつなぐ業界」として、「ホテル業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
ホテル業界は、コロナ禍で仕事が減った人が他業種に転職したり、清掃をしていた外国人労働者が帰国するなど、大きな影響を受けた業界の一つだ。だが、そんな状況が2023年に入り一転した。インバウンドの回復や国内観光需要の高まりなどで宿泊客が急増し、一気に人手不足となったのだ。
そのため、これまで業界の課題とされてきた賃金水準の向上や公休増加といった処遇の改善が急速に進む一方、DX化などによる業務効率の改善が喫緊の課題となっている。すでにDX化が進み、システム化されているホテルもある。
そうした施設では、短期で働きたいという人を受け入れられる体制にするなど、労働力不足を補う新たな取り組みを始めている。
業務プロセス見直しで
顧客満足度がアップ
人を効率良く配置するため、現場では自動化が進んでいる。
例えば、宿泊の最低価格を保証した自社アプリの利用を促し、スマホで予約した顧客が自動チェックイン機で簡単に宿泊できるようにして、なるべくカウンターに人を配置せず、他の業務に回ってもらうといった試みだ。
DX化などで時間を節約できれば、その分もっと接客に力を入れることができ、顧客満足度も向上する。そのため、各社はシステム開発への投資を惜しまない。
ホテル業界では、ハウスキーパーやレストランのホール・厨房で働く人の数も多い。こうしたデジタル化しにくい仕事のプロセスを見直し、より効率的にするにはどうしたらいいかを考えながら、改善していく余地はたくさんある。
今後は「顧客に対するホスピタリティーマインドを大事にしつつも、一方で業務改善への高いマインドを持つ、バランス感覚を兼ね備えた人材が必要とされていく」(立教大学特任教授の沢柳知彦氏)とみられる。