建設業界の「100万人不足問題」をSaaSで変える、ゼネコン出身起業家の挑戦Photoruction代表取締役・中島貴春氏 提供:Photoruction

建設業界は慢性的な人不足に悩まされており、今後10年間で100万人以上の労働者不足が起こるとも予測されている。そこでデータを蓄積し活用することで業界の生産性を高めていくことを目指すスタートアップがPhotoruction(フォトラクション)だ。提供するSaaSの「Photoruction」では、図面や写真など、建設現場における必要な情報を一元管理することを可能にした。同社は5月27日、総額5.7億円の資金調達を実施したことを発表。今後は業界に特化したAIを活用し、「データをアップロードするだけで雑務がなくなる」サービスを立ち上げ、人手不足の解決を目指す。(ダイヤモンド編集部 菊池大介)

デジタル化で目指す建設業界の生産性向上

 建設業界はまだまだアナログ体質だ。現場で黒板に情報を書いて撮影し、事務所に戻ってから整理、といった非効率的な作業が残っている。そして情報はデータではなく紙として蓄積していくため、 経営資源になりづらい。

 建設業界の生産性向上を支援するスタートアップ・Photoructionで代表取締役を務める中島貴春氏は取材でこう説明した。2013年、新卒で大手ゼネコンの竹中工務店に入社した中島氏は、その業務を通じて業界の課題に気づき、2016年3月にPhotoruction(当時の社名はCONCORE’S・コンコアーズ)を設立した。

「建設はまだまだ労働集約型の産業だ。そのため、1人当たりの生産性が他の産業と比べてもなかなか上がってきていない。(データが蓄積されていないため)どうしたら生産性が上がるのか、何をしたら利益率が上がるのか、 何をしたら建設の品質が良くなるのかなどが見えづらい。 我々はテクノロジーを用いてデータを蓄積し、(企業が)生産性を自ら上げていく産業へと変えていきたい」(中島氏)

5万を超える建設プロジェクトが活用

 Photoructionが提供するのは、図面や写真など、建設現場における情報を一元管理するためのSaaSだ。情報は関係者間でリアルタイムに共有されるため、伝達スピードは早くなる。そして複数のプロジェクトを一括管理できるため、バックオフィス業務の工数削減にも繋がる。