写真を簡単に管理、図面を高解像度かつ高速で表示、工事写真台帳や現場野帳などを写真や図面から簡単に作成することが可能など、業界特化SaaSならではの機能が備わっている。同社いわく、資料管理コストを10分の1に削減するなどの効果をあげている。

建設業界の「100万人不足問題」をSaaSで変える、ゼネコン出身起業家の挑戦Photoructionのサービスイメージ 提供:Photoruction

 2020年4月現在、Photoructionは5万を超える建設プロジェクトで活用されている。導入企業は大手ゼネコンの大成建設から町の工務店までと幅広い。

 リリースから約2年半、Photoructionの提供と並行して業界特化型のAIを開発してきた同社は、新たに建設BPO(Business Process Outsourcing:企業活動における業務プロセスの一部を一括して外部委託すること)事業の「Photoruction Eye」を開始する予定だ。

 そのため5月27日、立ち上げ費用を含む資金として総額5.7億円を調達したことを発表した。第三者割当増資の引受先はパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」、 DBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、そして1名の個人投資家だ。

人手不足をSaaS・AI・ヒトの組み合わせで解決目指す

 Photoruction Eyeでは、Photoructionが開発した建設業特化AI、「aoz cloud(アオズクラウド)」とオペレーターの作業を組み合わせて、雑務を自動化する。

 例えば建物の積算業務(見積もり)であれば、ユーザーが建物の図面をアップロードするだけでAIが必要な情報を抽出してくれる。それをオペレーターが目視でチェックして精度を上げ、ユーザーへと返すといった具合だ。AIがデータを各社ごとに学習することで、精度や速度は向上する。

 中島氏いわく、Photoruction Eyeは、対応できる業務を増やし複合的に組み合わせることで、建設業の多くの雑務を請負うことができるようになっていく。同社では現在、Photoruction Eyeを限定的に試験運用し、正式リリースを目指している。

建設業界の「100万人不足問題」をSaaSで変える、ゼネコン出身起業家の挑戦Photoruction Eyeのサービスイメージ 提供:Photoruction

「建設業は需給の波が大きく、自社で請負きれない業務は外注BPOを活用して成長してきた。一方で需給の予測は難しく、仕事がなくても外注先を抱え込んだり、抱え込んだ外注先をいざというときには手放す必要がある。つまり、産業にある労働力を最大化することが極めて難しい状況となっていた。

 Photoructionを提供してから、私たちはSaaSだけでは問題を解決することは難しいと考えていた。そこで既存事業のSaaSを生かした新しいサービスを模索した結果が、SaaSに加えてAIとヒトを組み合わせた建設BPOサービスとなった。本当に必要な時かつ必要な時間分だけ、オンデマンドで確実に労働力を確保することが出来る建設BPOは、産業の労働力を最大化し、人手不足を根本的に解決するソリューションになると考えている」(中島氏)