こんな背景から、社外からの資金調達も行っていない。大きな資金が必要な案件についても、国の助成金などを活用して開発している。投資家目線での成長よりも、自分たちが興味を持ったプロダクトを、スピード感を持って開発することを心がけているという。事業は1期目から黒字を継続している。

5Gでさらに加速する、ダンス×テクノロジーの世界

 老若男女が観に来てくれるダンスの舞台を作りたい――。藤本氏のかねてからの想いを実現するべく、昨年12月末からmplusplus所属のダンサー募集を開始。ダンスとテクノロジーを融合させた公演を、自社で主催していく。

 今年は、各通信キャリアが主導となり、5G(第5世代移動通信システム)の実用化もスタートする。この変化もmplusplusにとっては追い風だ。フラッグ上の映像をリアルタイムで変化させるなど、観客それぞれに向けたパーソナライズな演出も可能になる。より質の高いコンテンツを届けられる時代を見据えて、ロボット(機械工学)の専門家もチームに加え、LEDを超える革新的な演出に挑戦するという。

「これまではフラッグを大きくしたり、LED粒を増やしたり、まず『拡大』を目指していました。次の段階としては、リアルタイム化や高精細化など、『体験・質の向上』を目指して新しい価値を作っていくというフェーズを目指します」

 ダンスへの強い思いと進化するテクノロジーを味方に、藤本氏の挑戦は続く。

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