半年ほどの試行錯誤を経て、布素材やLEDのピッチ数などを調整し、現在の形に仕上がった。EXILEのツアーはもちろん、横浜みなとみらいで開催されたイベント「ピカチュウ大量発生チュウ!」での演出や、K-POPアーティスト・SEVENTEENの「Mnet Asian Music Awards」(アジア最大級の音楽授賞式)でのパフォーマンスなど、早速幅広いステージに登場することになった。この反響に「(Lighting Choreographer以降作ってきたものに続く)2つ目の概念を作りだせたという感覚があって嬉しかったです」と語る藤本氏。一見アナログな旗の柄が、LEDによって鮮やかに変わるという視覚的なインパクトは見る者を引きつける。

 

 昨年9月のラジオ局・J-WAVE主催のイベントでは、AKB48による「恋するフォーチュンクッキー」のパフォーマンスにあたり、改良版のフラッグも製作した。

 通常のLED VISION FLAGは大型で黒い生地を採用していたが、生地を白くし、女性が片手で持てるサイズに改良した。LEDの数を増やすことで、映像が荒くなることも防いだ。LEDに表示される柄もハートなど楽曲の世界観に合わせたものとし、プロダクトの新たな活用法を提示した。

Photo by Tetsuya Yamakawa,Miki AnzaiPhoto by Tetsuya Yamakawa,Miki Anzai

「受注型」より、「伴走型」のビジネスモデルで事業を成長

 アーティストとのコラボレーションを中心にしながらも、予想もしていなかった業界や企業からのオファーも多いというが、あらゆる案件を受けるのではなく「こんなステージを作りたい」という強い想いがある人と話し合いながら新しいものを作れる仕事に全力投球するのが、藤本氏のポリシーだ。

「自分自身、ダンスの経験があることから『こんな演出をしたい』という強い想いだけで作品づくりをしているので、バズワードだけが並んでいるようなものは作らないようにしています。アーティストや演出家の方は、ステージづくりのために日々新しいものを探し続けているので、YouTubeなどで見つけた本人たちから『ぜひ使いたい』と直接連絡をもらうことが多いです」

Photo by H.M.Photo by H.M.

 そんな思いで事業を展開する藤本氏。事業や会社の成長以上に大事なものがあるという。

「僕たちの目標は、あくまでもダンスの世界を開いていくことで、会社の規模を大きくしたり、上場したりというところがゴールではありません。もし、社員300人の組織になってしまったら、社内にその意識が浸透できなくなるしクリエイティブに関わらない人も増えてしまいます。誰かに何かを言われて作るのではなく、自分や社員が作りたいダンスのステージに必要なものだけを作るという目標を貫くために、想いを同じくしたチームで動いています」