江崎グリコが手掛ける「カフェオーレ」は、2024年に「発売から45周年」という節目を迎えるロングセラーだ。この飲料の特徴といえば、甘くて飲みやすい風味はもちろん、他社製品にはない特殊なパッケージである。なぜ一般的な紙パックとは異なり、独特な「台形」(正確には円錐台=えんすいだい)になっているのか。江崎グリコのマーケティング担当者を直撃取材したところ、納得の理由が見えてきた――。(フリーライター 鬼頭勇大)
40年以上売れ続ける「カフェオーレ」
トレードマークは「台形」の容器
1979年に江崎グリコが発売した「カフェオーレ」。まだコーヒーを喫茶店で飲むのが主流だった時代に登場し、40年以上にわたり愛され続けているロングセラー商品だ。
累計販売本数などの詳細なデータは開示されていないが、後ほど詳説するリニューアルを2020年3月半ばに行うと、4月中旬までの「たった1カ月間」で出荷本数が1000万本を突破。40年超の歴史に鑑みると、これまでの売上本数は天文学的な数字だと言っても過言ではないだろう。
その特徴は、何といっても独特なパッケージ。他の商品にはない「台形(円錐台)」の容器は、一目で「カフェオーレ」だと認識させるインパクトがある。
一体なぜ、このような形になったのか。長く売れ続ける秘訣(ひけつ)とともに、江崎グリコの鈴木葵氏(乳業事業部 マーケティング部 乳飲料マーケティンググループ)に話を聞いた。
「カフェオーレ」が登場した頃、コーヒーを楽しむのは喫茶店という価値観が根強かった。その中で、当時の社員たちは手軽においしいコーヒーを提供できないかと考え、フランスで親しまれているカフェオレに着想を得た。フランスでは大人から子どもまでが、日常生活のさまざまな場面でカフェオレを飲んでいるからだ。
ちなみに、カフェオレはフランス語、カフェラテはイタリア語。意外と知られていないが、前者はドリップコーヒー、後者はエスプレッソと牛乳を混ぜたものである。
・イタリア流ではなく「フランス流」を採用したワケ
・「カフェオーレ」の容器が“台形”になった理由
・「白黒つく」ことを恐れないリニューアルの中身