脳を使わないと認知症になりやすいといわれています。それと同様、目も使わないと老化が進みやすいのです。老眼が進むと、近くが見えづらいために転倒やケガにもつながりかねず、ひいては生活の質が格段に下がりかねません。

 行動範囲や趣味に制約のない快適な老後を過ごしたいのであれば、「老眼になったら諦める」のではなく、「老眼になったら、老眼鏡をかける。それ以上、進行しないように対処する」というのが賢い選択なのです。

急激な視力低下は眼科へ直行
失明する危険の病気もあり得る

 視力は年々、多少なりとも変化するものですが、急激に低下するのは、何らかの病気のサインと見たほうがいいでしょう。例えば、今まで使ってきたメガネが急に合わなくなったら要注意です。

 まず考えられるのは、「核白内障」です。

 核白内障とは白内障の一種で、レンズの役割を担っている水晶体の中心部だけが白濁します。この核白内障になると、年に1度のペースでメガネの度を強くしなくてはいけないくらい、近視が一気に進むことが多いのです。

 その他、急激な視力低下は失明原因のトップ5の「緑内障」「糖尿病網膜症」「網膜色素変性症」「加齢黄斑変性」「網脈絡膜萎縮」の末期、さらには眼底から出血する「眼底出血」、網膜の静脈が詰まる「網膜静脈閉塞症」の可能性もあります。

 また、高齢者の場合は、加齢により水晶体が弱くなったために、水晶体そのものの位置がズレてしまったとも考えられます。水晶体の位置がズレると、水晶体を透過する光もズレて、網膜に映し出される像もズレます。これが近視や遠視のような現象となり、「メガネの度が急に合わなくなった」と感じられることがあるのです。

 通常、視力の変化は少しずつ起こっていくものです。急激な視力低下を感じたら、とにかくすぐに眼科で相談してください。

 舞台が暗転するように、急に目が見えなくなった場合、その後、ずっと見えないままになるケースと、また見えるようになるケースがあります。