走行モードがSTANDARDでも瞬発力は抜群。公道でよく使う低回転域でもアクセル操作に対する応答遅れはなく、あたかも排気量を大きくしたかのような気持ちのいいトルクの厚みを感じる。さらに、3000rpmあたりからは一段とレスポンスが俊敏になり、サウンドも迫力が増して力強く盛り上がる。中間加速は単に速いだけでなく、官能的だ。公道ではそうそう試せないが、トップエンドにかけての爽快な吹き上がりを味わいたくて、思わずアクセルを踏みたくなってしまう。

 エグゾーストは400Rと同じ。だが、サウンドは心なしか厚みが増して感じられた。性能が上がった分、よい音を聴かせる領域に入りやすくなったからだろうか。凛々しいエグゾーストサウンドとともに、いかにも高性能なクルマに乗っているという感覚をいつでも味わうことができるのがNISMOの醍醐味だ。

 SPORTモード以上を選択するとよりダイレクト感が増し、高回転を維持するシフトスケジュールである。とはいえ、あまりに走りが元気になるので公道でこのモードを使うときは心したほうがいい。サーキットなどでのスポーツ走行が似合いそうだ。

イメージどおりの走りを実現する足回り
マニア垂涎の“スカG完成形”といえる

 NISMOは足回りもしっかりと煮詰められている。おさらいすると、専用開発のハイグリップタイヤにワイドリム化した軽量高剛性ホイールを装着。サスペンションやスタビライザーには専用チューニングを施した。

 さらに前後ウインドシールドの接着剤に高剛性接着剤を用いて剛性向上を図ったほか、空力性能と冷却性能を高めるデザインの前後バンパーを採用している。

 操縦フィールは当然スポーツライク。それなりにフロントヘビーながら走りに重々しい感覚はなく、ステアリングを切ると応答遅れなく俊敏に回頭。そのままイメージしたラインを高い精度でトレースしていける。