2009年に「田光」を立ち上げた。選んだ酒米は、酒田酒造で最も感動した「上喜元」純米吟醸の米、雄町だ。夢中で醸した酒を佐藤さんに送ると「早川君らしくて、すごくいい」と好評価。磨きをかけ、全国の雄町の酒が集結する「雄町サミット」に出品すると優秀な成績を収め、その後も受賞を繰り返す。主要な酒米は、縁をもらった山形県産の出羽燦々、そして地元の神の穂だ。三重県が開発した酒米を、役場で推薦された篤農家に契約栽培を依頼。酒の味は滋味深く、田光という土地をよく表した。それぞれの酒米の個性が生かせるよう、純米醸造のみで、洗米は10kg単位、搾りは醪を袋に入れて槽で優しく丁寧に行う。釈迦ヶ岳からの伏流水の超軟水が仕込み水だ。爽快でうま味のある酒は、まさに田んぼが光り輝く様を思わせる。

新日本酒紀行「田光」純米吟醸 田光 神の穂
●早川酒造・三重県三重郡菰野町小島468●代表銘柄:純米酒 田光、純米吟醸田光 雄町、純米吟醸 田光 出羽燦々、純米吟醸 Malic acid●杜氏:早川俊人●主要な米の品種:雄町、出羽燦々、神の穂
新日本酒紀行「田光」蔵の横を流れる田光川 Photo by Y.Y.
新日本酒紀行「田光」酒蔵全景 Photo by Y.Y.