2024年米国経済と相場を左右する「7つの分岐点」、ソフトランディングはメインシナリオになり得るか?Photo:PIXTA

米国では2024年に景気・インフレが軟着陸に向かい、金利は下降サイクルをたどるとの見方が強まった。このため23年11月以降、株価は堅調だったが、この流れが単純に続くとは考えにくい。金利が順調に低下する場合でも、米国株には明暗の分岐があり得る。そこからドル円、日本株、新興国の明暗に連なるシナリオ分岐が浮かび上がる。さらに欧州、中国、地政学のリスクが絡む。そんな24年の投資環境を総括する。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザーTTR代表 田中泰輔)

市場が織り込む米利下げ回数と
政策当局の見通しはギャップあり

 米国では2023年11~12月に、債券相場も株式相場も急反発し、投資家心理は楽観に傾いた。しかし、市場が織り込む利下げ回数と、政策当局の見通しには、大きなギャップがある。また、主要な投資銀行の24年のマクロ経済、株式相場の見通しは、総じて地味とメディアで報じられている。

 実は、景気・インフレ・金利の下降サイクル入りをメインシナリオとしつつも、強気・弱気の一方にメリハリをつけにくい事情、シナリオの分岐リスクがそこかしこにある。次ページ以降、それを7つの分野・テーマに分けてチェックする。