書影『スキル』『スキル』(クロスメディア・パブリッシング)
高瀬敦也 著

 ちなみに私は「入眠時間15分+90分単位」で睡眠時間を設定しています。睡眠サイクルの話は聞いたこともあると思います。人は一晩ずっと寝ているようで、実は小さな睡眠を繰り返しています。これはウルトラディアンリズムとも言われる生体リズムの一つで、人は約90分単位で繰り返す体内時計を持っています。寝ているときだけではなく、起きているときにも繰り返しています。「会議や講義で集中力が保てるのは90分」と言われる理由のひとつでもあります。人にはいろいろ生体リズムがあり、一日24時間を繰り返すリズムも代表的な生体リズムで、サーカディアンリズムと言われます。

 睡眠不足になると健康を害したり、判断力が低下するなど、様々な学問の見地から「寝ないことのリスク」が発信されていますから、ここで細かくお話する必要はないでしょう。本書におけるスキルという点で敢えてあげるとするならば、よく寝てるだけで「考え方がポジティブに働く」ということと「意欲的になる」ことが大きいと思いますし、私も常々実感しています。

 ノルウェー科学技術大学の研究でも、睡眠を減らすと、翌朝のポジティブな気持ちが減少することが報告されています。睡眠を一晩減らしただけで喜び、熱意、注意力、満足感が悪化し、三夜後にはさらに低下したそうです。

 ビジネススキルを上げる目的は、「仕事を上手くこなしたい」「生産性を上げたい」「お金を稼ぎたい」などでしょう。そのためのスキルを手に入れるにはいずれも一定の労力が必要です。真面目な人や向上心の高い人ほど睡眠時間を削って努力しがちですから、「睡眠はビジネススキルだ」と捉えてみてください。このスキルだけは労力が不要です。寝るだけです。寝れば仕事は上手くこなせますし、生産性は上がりますし、結果としてお金も稼げるようになります。最も楽に結果が出せて、多くの人が軽視しているコスパ最強の力、それが「寝る力」というスキルです。