人気番組「逃走中」の元ネタは鬼ごっこではなかった!企画者は何を“パクった”?写真はイメージです Photo:PIXTA

この世に新しいものは存在しません。全て何かから影響を受けています。オマージュ、リスペクト、インスパイア、パロディ……。物事の本質を追及するスキルこそが「パクる力」です。

※本稿は、高瀬敦也『スキル』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

パクる力

 ビジネスシーンでは、新しい企画や新しい発想を求められることがよくあります。上司やクライアントから「もっとパッと思い切った斬新なこと考えてよ」「見たことのないオッと言われるものないかな」というような無邪気なオーダーを受けて、げんなりした経験はあると思います。「新しいことを考える」「新しいことを生み出す」というのはとてもハードルが高く感じます。そういうときにお薦めの方法があります。それが「パクる」ということです。

 ここではハードルを下げるために「パクる」という言い方をしましたが、もちろん「違法にコピーする」ようなことではありません。ただ、よくある「他者から学べ」「過去の経験から学べ」のように言われてもなんだかよく分かりませんよね。ですから「パクって」ください。「パクる」と言われると簡単そうだし少しやる気になります。

「ゼロイチ」は存在しない

 そもそもパクるのは悪いことではありません。パクるのは良くないとか格好悪いと思うのは、「この世にあるモノのほとんどは新しく生み出されたものであって、模倣されているものは少数である」という考えがベースになっているからです。しかし実際には違います。この世に新しいものは存在しません。すべて何かに影響を受けて出来ています。ヒット商品や作品の誕生秘話にはそんなエピソードに事欠きません。

 たとえば、映画『スターウォーズ』の生みの親、ジョージ・ルーカスが黒澤明作品のファンで、『七人の侍』などの映画に強い影響を受けているのは有名な話ですし、映画『マトリックス』も『攻殻機動隊』に影響を受けていると言われています。日々生み出されるソフトウェアも、過去のオープンソースを組み合わせてつくるのが当たり前です。ちなみに私が企画した『逃走中』は鬼ごっこが元ネタだと思われていますが、発想の起点は「サッカー中継」です。試合時間の表示が当時はカウントダウンが主流で、それを見たときに「ずっとカウントダウン表示しているゲーム番組」をつくれないかと考えたのが最初です。