過去2年にわたってインフレが高進した後だけに、米連邦準備制度理事会(FRB)が勝利宣言に時間をかけたことは責められない。ジェローム・パウエルFRB議長は1月31日、インフレ率が指標によっては目標の2%まで低下していることを認めた。それでもパウエル氏は利下げのハードルを高めに設定した。記者団に対し「このプロセスを開始することは非常に重要な決定である」と述べたのだ。パウエル氏は利下げのハードルを高く設定し過ぎないように注意する必要がある。利下げすべきかどうかは、経済指標だけでなく、足元の政策金利の水準にも左右される。パウエル氏自身、政策金利の水準は「かなり引き締め的な領域に入っている」と指摘した。実際、十分に引き締め的であるため、小幅な利下げが失策になるとは考えにくい。逆に、インフレは収束したという絶対的な確信を得られるまで待てば、経済の収縮開始という正反対のリスクが高まる。