被相続人の未払い税金や
入院費も債務控除出来る!

 相続税の課税価格の計算上、債務や葬儀費用は差し引くことができます。これを「債務控除」といいます。

 差し引くことのできる債務は「被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるもの」とされており、連帯保証債務のように「将来発生するかもしれない債務」は対象になりません。またお墓の購入代金の未払い金のように、非課税財産にかかる債務も控除することはできません。

 債務というと金融機関からの借入金を思い浮かべますが、それだけではなく被相続人の死亡後に納付期限が到来した固定資産税、住民税、所得税なども控除対象になります。

 また、被相続人が入院中に亡くなった場合などは医療費の未払いもあるでしょうから、これも対象になります。所得税法における医療費控除では「支払ったもの」しか認められないので、生前に支払った医療費は所得税の医療費控除、亡くなった後に支払った医療費は相続税の債務控除、でそれぞれ差し引くことになります。

 よく「分割協議でもめて弁護士費用が莫大にかかったので、それも控除できますか?」という質問を受けますが、これは相続が発生した「後」に生じた費用ですので債務控除できません。

 また、民法では債務について「時効」が定められています。被相続人が抱えていた借金も、すべてが有効ではなく、なかには時効が成立しているケースもありますので、弁護士などの専門家に相談してみるといいでしょう。当然のことですが、時効の成立している債務については債務控除できないので注意が必要です。