性的暴行疑惑が浮上した
他の代表選手はどうなった!?
他の選手を見てみても、サッカー界における性的暴行疑惑への対応はケース・バイ・ケースである。
かつて、仏パリ・サンジェルマンに所属していたブラジル代表FWネイマールは2019年5月に、パリ市内のホテルで強姦(ごうかん)したとして、ブラジル人の女性モデルから被害届を出された。世界中を驚かせたなかで、ネイマールは合意の上での性行為だと主張。ブラジル・サンパウロの捜査当局は同7月に証拠不十分で捜査終了を発表した。
フランスリーグはちょうどシーズンオフだったが、ブラジル代表チームはW杯に次ぐビッグイベント、南米選手権を控えていた。結局ネイマールは大会直前の親善試合で右足首靱帯(じんたい)を損傷して欠場を強いられたものの、もともとはエースとして招集メンバーに名を連ねていた。その後のクラブ・代表での活躍は周知の通りだ。
それとは対照的なケースもある。元フランス代表DFバンジャマン・メンディは21年8月に、4人の女性に対する強姦と1人への性的暴行容疑で逮捕および起訴された。さらに容疑が増えたなかで、すべて無罪判決を下される23年7月までの約2年間にわたって、当時所属していた英プレミアリーグのマンチェスター・シティから活動停止処分を科されていた。その間、もちろんフランス代表にも招集されていない。
現在29歳のメンディは昨夏から選手活動に復帰。くしくも伊東の復帰戦の対戦相手だったロリアンに所属しているが、11日のスタッド・ランス戦ではベンチ入りしなかった。そしてメンディは現在、日本円で約18億円に達する活動停止期間中の給与支払いを求めて、古巣のマンチェスター・シティの提訴に踏み切っている。無罪を勝ち取ったにもかかわらず、トラブルが続いているのだ。フランス代表への復帰も果たせていない。
では、伊東の代表選手としてのキャリアは今後どうなるのか。
北朝鮮代表との北中米W杯アジア2次予選をはじめとする、3月以降の代表活動における伊東の復帰について、JFAの田嶋会長は現時点で明言を避けている。
「これがどのように展開していくのか、JFAとしてしっかりと見極めていきたい」
先述したスポンサーとの兼ね合いからも、捜査が一段落するまでは方針を定められないのだろう。
現時点で言えることは一つ。
日本から厳しい視線が向けられていることを承知しつつも、サッカーに集中できる環境に感謝しながら、伊東が所属チームの右サイドで奮闘するだろうということだ。