東京都内で緊急記者会見に臨んだJFAの田嶋幸三会長は、判断が二転三転するドタバタ劇となった経緯を謝罪した上で、最終的には「すべてを総合的に判断しました」と語っている。

「現在の状況を考えると、騒がしい環境が日本代表チームを取り巻いていくとも想定されます。選手たちがサッカーに集中できる環境をJFAとして作っていく必要があるなかで、お騒がせしていることや伊東選手の心身のコンディションも含めて、離脱させるのが望ましいという判断に至りました」

代表離脱の一因は
「スポンサーへの配慮」

 質疑応答のなかで「JFAのステイクホルダーやスポンサーの声、といったものも影響したのでしょうか」と問われた田嶋会長は、正直に「ゼロではありません」と答えている。

「こういう事態が起きて、お互いにいろいろな情報を出すなかでそのあたりのことも考慮したといいますか、パートナーのみなさんを配慮したのも事実です」

 JFAの協賛企業にはキリングループ、アディダス、全日空などの大企業が名を連ねる。昨年7月にはクレディセゾンも加わり、公式アンバサダーには伊東が就任した。しかし、今回の一件を境に、クレディセゾンの公式HPからは伊東に関するページや画像のほぼすべてが削除されている。

 伊東を巡る最終的な判断を要約すれば、伊東とともに戦いたいと望む他の選手たちの思いよりも、伊東が残る状況がチームに与えるマイナス要素の方が大きいとJFAは最終的に判断した。田嶋会長もその点は否定していない。

 対照的に、スタッド・ランスの方針は首尾一貫していた。

 スタッド・ランスも公式HP上で日本時間2月1日に、伊東に関するクラブとしての声明を公表している。JFAが最初に伊東の離脱を発表したリリースより2時間ほど早かった。

「日本人ストライカーの人間的な資質と振る舞いに対して、スタッド・ランスはこれまで一度も疑問視したことはありません。しかし、今回メディアで報道された出来事が大阪でのインターナショナルブレイク中に行われた状況もあり、私たちは大阪の司法当局による調査を一方的に裏づける情報もまた持ち合わせていません。それでも現在に至るまで、私たちは選手(伊東のこと)との連帯を示しています。同時に今後は真相の解明につながる具体的な証拠を待ち望むとともに、いかなる法的な進展に対しても細心の注意を払いながら見守っていきます」(原文を翻訳、以下同じ)