円安長期化に悩む「仮面の黒字・債権国」日本、戻らぬ円とデジタル小作人の末路Photo:PIXTA

2024年に入っても円安に歯止めがかからない。23年の経常収支の黒字は22年に比べ大幅に増加したが、日本に円転され還流するかを基準にしたキャッシュフローベースの収支では依然赤字が続いている。日本は“仮面の黒字国、仮面の債権国”にすぎない。米国のプラットフォーマーへの依存をやめられない以上、デジタル収支の赤字は拡大し、円安圧力となり続ける。(みずほ銀行調査部チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)

経常収支は統計上は大幅に
改善したが円安止まらず

 円安が止まる気配がない。この点、2月8日、財務省が発表した2023年の国際収支統計は日本経済の現状や展望を議論する上で極めて有用な情報を与えてくれるものであった。

 とりわけ22年3月以降、日本が直面している執拗な円安局面を考察する上で、国際収支以上に言及すべき材料はないと筆者は考えている。

 まず、ヘッドラインとなる経常収支は20兆6295億円の黒字と2年ぶりに20兆円台に復帰した。黒字額としては前年比9兆9151億円の増加であり、その増加幅のほとんどは貿易収支の赤字が半減以下(同9兆1146億円)に改善したことで説明できる。

 さらに言えば、貿易収支の赤字の減少は言うまでもなく資源高の一服で輸入が大幅減少(同7兆6092億円減)したことで説明可能だ。

 貿易収支以外では、サービス収支赤字が大きく減少(同2兆3262億円)したことも経常収支の黒字の押し上げに寄与している。これは旅行収支の黒字が3兆4037億円と、19年に記録した過去最高の黒字(2兆7023億円)を大幅に更新したことの結果である。

 22年は6242億円だったので、サービス収支赤字の改善は基本的に旅行収支黒字の増加で説明できる。ここまでの段差が生じているのは23年の途中(5類変更が行われた5月)まで入国における水際対策が残っていたためだ。

 今後は3兆円台の旅行収支黒字が前提になるだろう。このように23年の経常収支黒字は基本的に貿易サービス収支赤字が大きく減少したことと表裏一体である。

 経常収支が大幅に改善したにもかかわらず、23年も円相場は円高方向に大きく振れることはなかった。その背景を次ページ以降分析してゆく。