今年の通貨パフォーマンス
欧州通貨がアウトパフォーム
24年の主要通貨見通しを考える上でも、まずは今年(23年)の動きを振り返っておこう。
今年は米経済が絶好調な中でドル高が目立った印象があるが、上昇率はフラン、ポンド、ユーロなど欧州通貨が最も大きく、円とノルウェークローナが最弱だった。一方、ドルはその中で「中の下」程度で、想定を下回る中国景気を受けて低調となった豪ドルなど資源国通貨を僅かに上回る上昇率にすぎなかった。
今年の通貨パフォーマンスは、政策金利の引き上げ幅の大きさに概ね連動している。主要国全体においてインフレ率がピークアウトしつつも高止まりする中、欧州諸国の利上げ幅が相対的に大きかった一方、日本はイールドカーブコントロール(YCC)政策の修正のみに留まり、政策金利(補完当座預金制度適用利率)を据え置いた。
また自国通貨買い介入の有無もある程度影響しており、スイスはフラン買い介入を継続し、スウェーデンは9月から外貨準備の為替ヘッジと称して事実上のクローナ買い支え介入を行ってきたため通貨パフォーマンスが向上した。一方、日本ではドル円が150円を超える円安となったにもかかわらず円買い介入が行われなかった。