【スクープ】「日本カストディ銀行は独禁法違反!」三井住友THの元幹部が公取委に申告日本カストディ銀行に公正取引委員会のメスが入るのか―― Photo:JIJI

前社長の不正行為が明るみに出た国内最大の資産管理信託銀行、日本カストディ銀行に「市場の番人」のメスが入るのか――。前社長と共謀して違法行為を行ったと不当に断定され、同行が業務契約を一方的に打ち切ったのは独占禁止法が禁止する優越的地位の乱用に当たるとして、三井住友トラスト・ホールディングスの元幹部が公正取引委員会に申告したことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

日本カストディ銀行の不正疑惑に新展開!
前社長の元部下が公取委に訴えた内容とは?

 1月30日付で公取委に申告したのは、ITコンサルティング会社コーラルテック(東京・港区)の廣瀬哲也社長。旧住友信託銀行の受託資産企画部事務システム推進室長、住信SBIネット銀行の執行役員システム第1部長、三井住友トラスト・ホールディングス(TH)のグローバルIT統括室長など一貫して金融システム畑を歩み、三井住友TH退社後の2022年にコーラルテックを設立した。

 そのコーラルテックが、日本アイ・ビー・エム(IBM)などを介して日本カストディ銀行(CBJ)の業務を請け負っていた22年に発覚したのが、前社長の田中嘉一氏による不正疑惑だ。その内幕については、特集『DX利権 日本カストディ銀行の悪事』で詳報している。

 CBJの内部調査報告書によれば、廣瀬氏は旧住友信託銀行時代から田中氏の部下であり、田中氏と共謀して不正行為に加担した、とされる。

 だが廣瀬氏は昨年8月にダイヤモンド編集部の取材に応じ「特定の発言が切り取られて構成されている」と述べ、調査委が指摘した不正を全面的に否定していた(『日本カストディ銀行の不正を全面否定!田中前社長の元部下「特定の発言が切り取られている」』参照)。そして今回、「市場の番人」である公取委に対し、逆にCBJが「優越的地位を乱用した」との訴えに踏み切ったわけだ。

 では、その訴えの根拠や具体的に求めていることとは一体何か。取材で判明した詳細を次ページで明らかにする。