東京都内の私立中学校では、入学金(平均26万3020円)と1年生時の授業料(平均49万2209円)を合わせた初年度納付金の平均額は2023年度で98万9125円です。値上げをする学校が相次いでいて、過去5年間だけでもほぼ毎年1%ずつ上がっています。私立校では施設費として数十万円のコストも加わります。

 高校でも状況はほぼ同じです。都内の私立高校の初年度納付金の平均額は2023年度で95万6918円で、こちらも毎年約1%ずつ上昇しています。都内271校中21校は5%以上、なかには30万円近く値上げをした学校もあるほどです。

 学校の環境整備や先生たちの待遇を考えれば、経済全体がインフレ局面に入っている今、値上げは致し方ないことだと思います。とはいえ学費を払う親の立場でみると賃金上昇以上の学費の値上げは負担が重くなる一方です。

 中学・高校になると、授業料や入学金といった学費だけではなく、通学の交通費やクラブ活動にもお金がかかるようになってきます。参考書などの図書費や修学旅行の積立金なども、小学校時代より嵩みます。学費とこれらの諸費用を合計した学習費の総額は、中学・高校それぞれの3年間で公立校は平均およそ50万円、私立は100~140万円です(文部科学省「子供の学習費調査」)。

 私立中学については東京都で年間10万円の補助制度、また高校には全国的に国の授業料無償化制度がありますが、2024年2月現在はいずれも所得制限が存在します。ごく一部の学校が独自に設ける奨学金や特待生入学などの制度を除けば、世帯年収1000万円以上の家庭が利用できる支援制度は現在のところ、ほとんどありません(ただし、2024年度以降は東京都・大阪府など一部地域で所得制限撤廃の動きがあります)。