難関中学狙いなら
高額の費用が必要

 小学校受験ではまれに家庭学習だけで合格するケースもありますが、中学受験は塾無しでの合格は、ほぼ不可能といわれています。一般的には小学3年生の2月から通い始めるのがスタンダードですが、近年は低年齢化しています。

 関東の場合、特に男子校の「開成」「麻布」「武蔵」、女子校の「桜蔭」「女子学院」「雙葉」は中学受験における「御三家」と呼ばれ、これらのトップ校やそれに連なる新御三家などの難関校を目指す場合には1年生から通塾するのも当たり前になっています。御三家への進学実績トップを誇る中学受験専門塾サピックス小学部の一部の校舎では、入塾テストが行われる年長の春休みの時点ですでに1年生クラスが満員になるという話があるほどです。

 以前、御三家への進学者が多いことで有名な都内の公立小学校の運動会に行ったとき、競技の出番を待つ小学生数名が「おい、○○くん、この前のクラス分けテスト、どうだった?何クラス?」「おれ、アルファクラス」「お!いいなぁ!」と話していました。徒競走や綱引きでめいっぱい力勝負をする運動会の舞台裏ですら、子どもたちが塾のクラス分けの話題で盛り上がるほど、中学受験は子どもたちにとって当然の過程であるかのようでした。

 私立中学校に進学する子どもの世帯年収を見ると、年収1000万円以上が6割近くを占めますが、一方で42%は年収800万円以下で、私立小学校の進学者と比べると世帯年収の分布は中間層寄りになっています。中学受験は、とりわけ大都市圏においては「特別なもの」ではなくなりつつあるとも言えます(文部科学省「子供の学習費調査」)。

 しかし通塾費用は、決して安いとは言えません。低学年の間は大手塾の場合で月に1~2万円程度ですが、本格的な受験対策が始まる5年生になると授業頻度が週3回、6年生の前半には週4、夏休み明けからは週5回や6回という具合に増え、授業料も算数・国語・理科・社会の4教科で月に5~6万円に上がります。高学年になると夏期講習や冬期講習、模擬試験も増えてくるので、その都度これらの費用も必要です。