ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

正社員の雇用のために非正規が犠牲になってきた。あるいは、中高年の雇用のために若手が犠牲になってきた。……バブル崩壊以降の失われた30年は、そうした対立軸で語られがちだが、実は日本の労働者の格差はきわめて小さい。誰もが賃金があがらず、みんなで貧しくなってきただけなのだ。※本稿は、岸本義之『グローバル メガトレンド10 社会課題にビジネスチャンスを探る105の視点』(BOW&PARTNERS)の一部を抜粋・編集したものです。

世界人口はまだまだ増えるが
日本は高齢化も少子化もさらに進む

 人口の予測は、最も確実に当たる「未来予測」だと言われています。50年後の老人の数は、今の若者の数から計算すればわかります(よほどの疫病でもない限り、その予測より大きく減ることはありません)。20年後の成人の数も、今の新生児の数から計算すれば分かりますし、新生児の数の予測も比較的容易です(親の適齢期の人口と、最近の出生率の傾向から予測できます)。

 こうした人口予測によると、日本の人口は減少に転じ、高齢化も少子化もさらに進むことが分かるのですが、世界的にみると人口はまだ増え続けます。それは、新興国の中にまだまだ出生率が高い国が多いからです。2022年の世界の人口は80億人ですが、2058年には100億人へと増加するというのが、現時点の予測です。人口の伸びの多くはサブサハラ(サハラ砂漠より南に位置するアフリカ諸国)から来るという予測になっています。

 新興国などで人口がさらに増えるということは、食糧不足という問題を引き起こします。また、先進国では日本同様の高齢化が起きるのですが、そうなると医療費負担の問題や、介護人材の不足といった問題が起こります。先進国などで出生率が2.1を下回ると人口が減ることになります(親2人から生まれる人数は2人より多くないと人口が維持できませんが、ギリギリ2人だと子供のうちに死んでしまう人の分、人口が減ってしまいます)。人口が減ると人手不足になりますし、納税者の数も減ってしまいます。

 人口は増えても大変ですが、減っても大変です。しかも世界の多くの国で人口問題が起きることが確実なのです。

新興国で増えた人口は
高い所得を求めて移動する

 人口問題は、数の問題と年齢構成の問題だけではありません。新興国から先進国への人口移動が起こり、移民問題を引き起こしています(「移民」とは経済的な理由で海外へ移動する人、「難民」とは母国にいると政治的な迫害を受ける可能性があるので海外へ移動しようとする人を指します)。移民は、先進国と新興国の間に所得格差が続く限り、起こり続けます。