会えてうれしい相手に「Why did you come here today?」と聞くと、ムッとされる理由「なぜ」ではなく、あえてWhatを使って「何があなたをうれしくさせたのか?」と聞くと好印象です(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「英語は通じればいい」と言う人は多いですが、僕はそういった言葉に対しては割とハッキリと「プロになりたいなら伝え方も大事」と言い続けています。当たり前ですが、どんな世界でもちゃんと相手から信頼されたいと思うなら、「伝え方」にも気を配って当然です。例えば、アメリカ英語ではピンチはチャンスと言わんばかりに、「困難だ」という時にもdifficultとあまり言いません。ポジティブに聞こえるようにchallenging「やりがいがある」という言葉を使うことを好みます。英語表現は「身だしなみ」と同じで、ちゃんと着るものにこだわるかどうかで相手からの見え方が変わってきます。神々は細部に宿る。プロフェッショナルな英語の伝え方を学んでいきましょう。(大学受験専門塾「ワークショップ」英語科講師 土岐田健太)

第5文型には
名言で使われるパワフルさがある

 Kelly Clarksonの名曲“Stronger (What Doesn't Kill You)”のサビには、“What doesn’t kill you makes you stronger.” という表現が使われています。これは直訳すると「あなたのことを殺さないことはあなたをより強くする」となります。

 この文の意味は「試練が人をより強くする」ということ。これは、相手を鼓舞する時に使われる格言でもあります。ぶつかっている壁を打ち破れるよう、「つらいことがあっても人は成長できるものだよ」と周囲の人がその人にかけてあげられるような言葉ですね。ニーチェの『この人を見よ』(原題:Ecce Homo)にある言葉“What does not kill him makes him stronger.”から着想を得たのではないかとされるフレーズですが、大衆音楽の中でもニーチェの哲学に通じる考えが浸透しているとは驚きです。もう少し言えば、この“What doesn’t kill you makes you stronger.”という言葉は、英語圏のネイティブスピーカーなら誰でもよく耳にする表現と言えます。