映画『フラガール』主人公の
モデルになった小野恵美子

女優の秋吉久美子女優の秋吉久美子 Photo:SANKEI

 太平洋に面し、東北地方で3番目に人口が多い福島県いわき市。旧制磐城高等女学校をルーツとするのが県立磐城桜が丘高校だ。個性的な卒業生をさまざまな分野で輩出してきたことでは、全国的にも特異な存在だ。24年度に創立120周年を迎える。

 この3月3日、いわき市内のスパリゾートハワイアンズ(旧常磐ハワイアンセンター)で「小野恵美子先生 お別れ会」が開かれる。小野恵美子とは、舞踊家で、映画『フラガール』の主人公のモデルになった人物だ。23年8月4日に79歳で死去した。

 1960年代、エネルギー革命により全国の炭鉱は廃坑に追い込まれた。いわき市の常磐炭鉱も大幅な規模縮小を余儀なくされ、そこで働く人々は職場を失っていった。危機を救うために元炭鉱労働者の男たちがヤシの木を植え、娘たちがフラダンスを学ぶという常磐ハワイアンセンター創設にまつわる実話を基にしたのが、この映画だった。

 小野は磐城女子高校(現磐城桜が丘高校)卒業後に常磐音楽舞踊学院に1期生として入学、1期生18人の中でトップのソロダンサーを任された。今でも人気を集めるフラガールショーの初代メンバーとなった。

 76年に結婚のため引退した後は、市内にバレエ教室を開いた。学院で後進の指導にも当たり、多くの弟子を育て「先生」と呼ばれた。「お別れ会」の献花には、いわき市民だけでなく、多くのフラガールファンが全国から参加するだろう。

 芸能では、講談師の神田香織が出ている。ジャズ雑談や一人芝居の要素を取り入れた独自の講談を次々と発表し、講談の新境地を切り開いている。原発事故や平和をテーマに福島の現状なども、語っている。