30代で東証プライム上場企業の執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)となった石戸亮氏が、初の著書『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)で、デジタル人材の理想的なキャリアについて述べています。
デジタル人材は、ビジネスの現場でどのように求められているのか。
本当に需要のあるデジタル人材として成長するためには、どんなスキルを身につければいいのか。
デジタル人材を喉から手が出るほど欲している企業に迎え入れられ、そこで重用されるには、どんな行動を取ればいいのか。
本連載では、デジタル人材として成長するためのTo Doを紹介していきます。

【CDOの考え】リーダーの意図をチームにわかりやすく伝える最も効果的な方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

言語化のトレーニングはビジネスパーソンに必須

 私は20代のサイバーエージェント管理職時代、毎日のようにブログを書いていました。といっても身辺雑記ではありません。現状の業務についての「考え方」です。チームのメンバーが増えると、どうしても会議だけでは自分の考えの根幹部分を伝えきれない。そこで「共感領域」を生まれやすくすべく、「在り方」の言語化をしたわけです。

 こうすることで、自分が率いているグループメンバーだけでなく他部門の社員にも、「石戸はこういう考え方なんだ」ということを伝えられるようになりました。

 私はこれを「ブログマネジメント」と呼んでいます。

 毎日のようにブログを書くのは大変ですが、頭の中でぼんやりしていた考えを言語化・構造化する訓練にもなります。実は私はもともと国語が一番苦手教科で、言葉で何かを説明することに苦手意識がありました。ですがブログを書くという習慣が言語化や思考のトレーニングになり、戦略・戦術立案や実行プロセスを次々と言語化できるようになりました。ビジネス感度や思考が研ぎ澄まされていった気がします。

 もちろん「毎日のように」と言ってもサボる日もあれば、3行くらいしか書いていない日もありました。マネジメントを任されたばかりで妙に背伸びして意識高い系のことを書いてしまったこともありましたが、習慣づけることによって思考や言語化のものすごいトレーニングになったことは確かです。先述の、上司に薦められた本の感想などもよく書いていました。

 言語化のトレーニングは、どういう職種であれ、マネジメントであれ、プレイヤーであれ、ぜひ習慣としておすすめします。今はビジネスシーンで飛び交う情報があまりに多くなり、個の考え方を従来の方法で伝えるのがいっそう難しくなりました。私はアメブロを使っていましたが、今はnoteやビジネスSNSのLinkedInでもなんでも、色々な手段で自分の考えを言語化し、発信し続けられる環境が整っています。

 noteやLinkedInの面白いところは、投稿したら反応が見られることです。社外の直接関係ない方から、「いいね」が押されたり、たまに個別でメッセージが来たりします。読んでくださっている方がお会いした時に感想をくれたりします。自分が発信していることに共感をしてくれたなら、何か仕事をする際にもスムーズに進みやすいですし、反応があることはモチベーションにもなります。

 自分の考え方を言語化して伝え続ければ、それに共感する仲間が増えます。いわゆる(あまり好きではない言葉ですが)セルフブランディングにもなる。自分の思想の言語化・構造化なわけですから。他の人が言っていたりやっていたりしたことに感銘を受けたら、一度自分に通して自分の言葉で言語化してみると、次は自分の言葉でしゃべれるようになる。これもぜひおすすめです。

 実は今でもたまに、同僚に自分の考え方を伝える際に、20代の頃に書いたブログを読んでもらうことがあります。もちろん当時の文章は稚拙ですが、そこで考えたことの基本は変わっていませんし、10年以上前に書いたブログを見せることで「石戸は10年以上も前からずっとこのことを意識していたんだ(今、思いついたことじゃないんだ)」ということも同時に伝わるメリットがあります。

「在り方」を言語化し、かつアーカイブしておくと、このようにいつでも引き出すことができる。いつでもアクセスできる自分の引き出しが、どんどんできていくイメージですね。

※本稿は『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。