四季がある日本には、春夏秋冬それぞれを歌った童謡が数多く存在する。5月5日の端午の節句に歌われる「こいのぼり」も、子どもから大人まで広く知られる童謡のひとつだ。じつは、その歌詞には、さまざまな意味や想いが込められているという。人気シリーズ『童謡の謎』の作者が「こいのぼり」の謎について解説する。※本稿は合田道人『歳時記を唄った童謡の謎』(笠間書院)を一部抜粋・編集したものです。
「こいのぼり」の歌詞に
お母さんがいない謎
「やねよりたかいこいのぼり。大きいまごいはお父さん」。
「小さいひごいは子どもたち。おもしろそうにおよいでる」。
4月後半からのゴールデンウィーク、大型連休の中に5月5日は端午の節句である。今でこそ5月5日は男女関係なく子どもを祝す休日になっているが、元々はちまき、柏もちを食べ、武者人形やよろいを飾り、さらにこいのぼりを立てて男の子の成長を祝う行事である。ではなぜ、端午の節句にちまきや柏もちを食べるのだろう?