草木が芽吹き、花開く3月はさまざまな別れも訪れる季節。Jポップにも“春の別れ”を歌った曲は数多く存在し、歌う者、聴く者の感情を揺さぶってきた。人気シリーズ『童謡の謎』の著者が、別れの歌に隠された意味や誕生秘話について紹介する。※本稿は合田道人『歳時記を唄った童謡の謎』(笠間書院)を一部抜粋・編集したものです。
名曲「贈る言葉」が
卒業式の定番曲になるまで
「暮れなずむ町の、光と影の中。去りゆくあなたへ、贈る言葉」。
「悲しみこらえて微笑むよりも、涙かれるまで泣くほうがいい」。
「人は悲しみが多いほど、人には優しくできるのだから」。
「さよならだけではさびしすぎるから。愛するあなたへ、贈る言葉」。
「夕暮れの風に、途切れたけれど。終わりまで聞いて、贈る言葉」。
「信じられぬと嘆くよりも、人を信じて傷つくほうがいい」。
「求めないで優しさなんか。臆病者の言いわけだから」。
「はじめて愛したあなたのために。飾りもつけずに、贈る言葉」。
「これから始まる暮らしの中で、だれかがあなたを愛するでしょう」。
「だけど私ほどあなたの事を、深く愛したヤツはいない」。
「遠ざかる影が人混みに消えた」。
「もうとどかない、贈る言葉。もうとどかない、贈る言葉」。
3月は卒業式のシーズン。卒業式の歌の定番と言ったら「あおげば尊し」であり「蛍の光」だったものだが、最近はこれらの歌が卒業式で歌われる機会が少なくなった。新たな卒業ソングの誕生である。