東大生の就職先としても注目され、人気が高いコンサルティングファーム。一流のファームでは、どんな採用基準で人を見ているのか?『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』の著者であり、コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏に、その傾向の変化を聞いた(書籍から一部を抜粋・編集して掲載しています)。

【マッキンゼー、ボスコン】一流コンサルの採用基準が大変化!「地頭のよさ」より重視される資質とは?Photo: Adobe Stock

面接で厳しく問われるのは「周りの人と、どう一緒に働いたか」

 コンサルティング業界にはかつて「個」の力が注目された時代がありましたが、最近は大きく変わってきています。求職者は「周りの人と協働できる人かどうか」を厳しく見られるようになってきているのです。

 システム開発や商品開発などのプロジェクトベースの仕事をしたことがある人なら理解できると思いますが、コンサルティングという仕事は決して一人でできるものではありません。「プロジェクトメンバーとのチームワーク」が必須となります。一人では到底解決できないようなプロジェクトを、プロジェクトメンバー間で協働し、お互いの足りないところを補い合い、考えや意見をぶつけ合って化学反応を起こし解決の糸口を見つける……プロジェクトの成功はチームワークのよし悪しで決まるといっても過言ではありません。

 さらには、プロジェクトの範疇を超えた「ファームとしてのチームワーク」もあります。近年のクライアントが抱える経営課題は非常に多岐にわたり、かつ複雑化しています。そのため、一人のコンサルタントが対応可能な領域にはどうしても限界があり、クライアントにベストプラクティスを提供するためには、ファーム内でのコラボレーションが必須となります。

 こうしたクライアントの多様な問題解決に対応するため、コンサルティングファームは「多様性」を重視しており、様々なバックグラウンドやスキルを持ったメンバーで構成されています。多様性自体はとても重要ですが、それだけで価値は生まれません。ファームおよびプロジェクトにおいて、コンサルタントには自分の周りの多様なメンバーと仕事を共にするだけではなく、クライアントに新しい付加価値を提供できるような「チームワーク」が求められます。

 面接では、どのようにチームワークを発揮するのかを確認するため、「周りの人と一緒に働いた経験」を聞かれます。「チームワーク」を発揮するにあたり、本書で紹介している「コミュニケーションスキル」と「リーダーシップ」も必要ですので、これらを含めた「インターパーソナルスキル」が総合的に重視されています。