老後写真はイメージです Photo:PIXTA

人生経験を積むほど、日々の生活で心が動く瞬間は少なくなる。そんな瞬間がなくなるほど、人は老化の一途をたどるのだ。人生を豊かにする「ワクワク」を取り戻す方法を名医が語る。本稿は、小林弘幸著『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』(朝日新書)を一部抜粋・編集したものです。

目に映る景色の解像度を上げると
さまざまなワクワクを見つけられる

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まったころだったでしょうか。私はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「インスタグラム」に、スマートフォンのカメラで撮った写真を投稿するようになりました。今ではすっかり習慣となっています。

 始めようと思ったきっかけは、目に映るものへの感動が薄れている自分に気づいたからです。

 若いころは、街を歩いているだけで「素敵だな」と思う場面によく遭遇していました。

 空が青くてきれいだなとか、花が咲いているのを見てきれいだなとか、変わったデザインのビルでかっこいいなとか、道行く人のファッションを見ておしゃれだなとか、いつも新しい発見がありました。

 しかし、年を重ねていろんな経験を積むと、多少のことでは心が動かなくなりました。ワクワクしなくなるのです。

 それなら、自分からワクワクするものを見つければいい、探しにいけばいいと思いました。

 インスタグラムを始めてから、今日はどんな写真を撮ろうかと意識して歩くようになりました。すると、それまで気づかなかったことに目がとまるようになりました。

 海の色、雲の流れ、木々のざわめき、道端に咲く花……。「目に映る景色の解像度」が、グンと上がった気がしました。

 日常のいたるところに、ワクワクは転がっている。問題は、それに気づくことができるかどうかだけ……。

 インスタグラムは、私にそんなことを教えてくれました。

「ワクワクすることなんて、かんたんに見つからないよ」

 そう思っている人は、一つ大きな勘違いをしています。ワクワクするには、何か大それたことをしなくてはいけないと思っているのです。

パッケージ、雑誌を細かく見る
いつものコンビニを楽しむには

 ワクワクすることは、身近なところに転がっています。たとえば、ふだんよく行くコンビニエンスストアだって、ワクワクがあるかもしれません。ワクワクすることを見つけるのは難しくない。

 いつものコンビニエンスストアに行ったら、ためしに「目に映る景色の解像度」を上げてみてください。