宮下パークPhoto:PIXTA

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所と三井不動産、住友不動産の不動産業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

不動産業界の主要3社で
三菱地所が大幅減益

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界3社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(3社いずれも23年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・三菱地所
 増収率:8.6%(四半期の営業収益3385億円)
・三井不動産
 増収率:マイナス6.2%(四半期の売上高5338億円)
・住友不動産
 増収率:マイナス1.2%(四半期の売上高2212億円)

 不動産業界の主要3社は、三井不動産と住友不動産が減収で、三菱地所だけが増収だった。

 ただ、各社の23年4~12月期の利益面を見てみると、三菱地所の営業利益と純利益が前年同期比で2割超の減益となっている。一方、三井不動産と住友不動産は営業利益・純利益ともに過去最高益を記録した。

 なぜ三菱地所だけが、不動産業界の中で減益に陥っているのか。

 次ページでは各社の増収率の推移と併せて、各社の業績について詳しく解説する。