ガーシー(本名・東谷義和)被告と俳優の綾野剛さんガーシー(本名・東谷義和)被告と俳優の綾野剛さん Photo:SANKEI

俳優の綾野剛さんら3人をインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で脅迫したなどとして、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損(きそん)、強要、威力業務妨害、証人威迫の罪に問われた元参院議員ガーシー(本名・東谷義和)被告(52)の判決が14日、東京地裁(佐伯恒治裁判長)で言い渡される。2月8日の公判で検察側は「社会問題化するインターネットの誹謗(ひぼう)中傷を象徴する事件で極めて悪質」と厳しく指弾し、懲役4年を求刑。弁護側は「反省して被害回復の措置を講じている」などと訴え、執行猶予を求めていた。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

被害者は「精神崩壊」「1億円超の損害」
立花孝志氏は「牙を抜かれた猛獣のよう」

 起訴状によると2022年2月~9月、ユーチューブで綾野さんやドワンゴ創業者の川上量生さん、ジュエリーデザイナーの福谷公男さんに「爆弾はいっぱいあります」「極悪非道なことをしています」などと投稿し、脅迫したなどとされる。

 また、告訴状を取り下げさせるため交流サイト「インスタグラム」や動画配信サイト「ツイキャス」で「裁判に出てくるってことがどれだけタレントとして致命的か、よう考えて出てこいよ」と脅したとされる。

 初公判が開かれたのは昨年9月19日。芸能人や著名人の暴露動画の投稿を繰り返し、イケイケで強気一辺倒だった面影はなく、頬はこけ金色に染めた短髪もかなり伸びていた。罪状認否では「起訴状に書いているような発言をしたことは間違いありません」と全面的に認めた。

 その上で、用意していたメモを手に「帰国して3カ月あまり、罪の償い方を考えてきました。いまもその途中です。一生をかけて反省し謝罪を続け、罪を償っていくつもりです」と述べ、傍聴席に向かって深々と頭を下げた。

 弁護側は、事実関係は認めつつも「脅迫の常習性」については否認。検察側は証拠調べで、綾野さんの「(動画で)ファンが離れ、精神が崩壊する。(被告の)存在自体が恐怖だった。人を信頼する気持ちや自己肯定感をずたずたにされた」、福谷さんの「事業終了を余儀なくされ、1億円以上の損害が出た」などとする調書を読み上げ、それぞれ厳罰を望んでいると指摘した。

 参院選で被告を候補者に指名した旧NHK党の党首だった立花孝志氏は、公判を傍聴した後に記者会見し「牙を抜かれた猛獣のように見えた。もう少し反論してもよかったと思う」と感想を述べていた。