築古マンションで多発する水漏れ事故、「管理組合」には何ができるのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

マンションで発生する事故やトラブルの中で、比較的発生件数が多いのが水漏れ事故だ。特に築年数がたった、いわゆる高経年マンションでは給湯管からの漏水が多く見受けられる。今回は、マンションの管理組合が、給湯管を原因とする水漏れ事故に備えて、どのような対応ができるのか考えてみたい。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)

マンションにおける水漏れ事故の
三大原因とは?

 マンションで発生する水漏れ事故でよく耳にするのが、上階の住戸からの漏水が原因で下階に被害が及んでしまい、トラブルになったというケースである。

 例えば、漏れ出した水が下階の住戸の天井からポタポタとたれて、床や家具をびしょぬれにしてしまった場合、フローリングや畳の張り替え、家具の買い換えなど、被害を受けた箇所に対する修理や賠償はもちろん、場合によっては被害に遭った居住者のためにホテルを手配したり、家財の一時的な移動場所を確保したりと、さまざまな費用負担が生じる。

 こうした下階への水漏れ事故は、その原因が誰にあるか(漏水の生じた場所がどこにあるか)で責任の所在が変わってくる。下階に被害が及んだからといって、すべてがその上階の住戸の居住者(区分所有者)に責任があるとは限らない。

 マンションの水漏れ事故は、大きく分類して次の3つの原因が挙げられる。

(1)外壁や屋上など、外部からの漏水
(2)配管の老朽化などによる漏水
(3)上階の住戸の過失による漏水