樹脂系の配管素材に取り替えるには?
配管更新を促すためにリフォーム規定を工夫する
高経年マンションにおける水漏れ事故を軽減するためには、銅管を樹脂系の配管に更新する(取り替える)のがもっとも有効な方法といえる。そして、管理組合としては、積極的にこの配管の更新を促すための対応を取ることが望ましい。
すでに触れたように、大半のマンションでは給湯管は専有部分にあるため、その管理権限は各住戸の区分所有者が有している。管理規約上でも、専有部分の修繕等に関しては、区分所有者の責任で工事することが原則だ。
区分所有者が専有部分に手を加えるケースで多いのは、室内のリフォームや設備機器(キッチンやトイレ、洗面化粧台、ユニットバスなど)の交換、エアコンや給湯器の交換などである。中でも、キッチン、トイレ、洗面化粧台、ユニットバス、給湯器を交換する際は、そこにつながる給湯管を更新する絶好のタイミングといえる。
専有部分に修繕等で手を加える場合、区分所有者は管理組合に工事申請をすることになるが、ここで管理組合ができる対応としては、給湯管や配管の更新を前提とするようなリフォーム規程を用意し、リフォームや設備交換の機会を漏水対策につなげることである。
具体的には、例えば給湯器の交換の場合、工事申請の際に、「交換する部位からメーターと給湯器までの配管の更新が見積もり項目に含まれているか?」という点を必ずチェックし、「配管の更新の可否」についても報告してもらう、という形が考えられる。
通常、こうしたリフォームや設備機器の交換を、ホームセンターや家電量販店などに依頼した場合、配管の更新までは見積もりの範囲には含まれない。また、建物や室内の構造的に、工事の際に配管の更新まで行うことが難しい場合もあるだろう。それでも、まずは配管の更新を見積もりの範囲に加えてもらい、更新ができる場合には同時に実施してもらうようにするのだ。
例えば、工事の際、構造的に配管の更新ができる確率が50%で、マンション全体の50%が給湯器を交換している場合、その半数が更新できたとすると、将来の漏水リスクが25%軽減されるという計算になる。