この記事は中国首相の記者会見に関するものとなるはずだった。中国ナンバーツーの首相は30年余りにわたって毎年、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕後に記者からの質問に答えてきた。国営テレビで放送されるこの会見は国民にとって、中国が直面する喫緊の問題について政府高官が直接質問を受け、どう答えるかを聞くことができる数少ない機会となっている。それは11日までの話だった。今年は全人代の閉幕後、李強首相が一度も質問を受けることなく北京の人民大会堂を後にした。課題が山積する中で習近平国家主席が権力の掌握を強め、中国の意思決定は秘密主義に覆い隠されていることが浮き彫りとなった。先週の全人代は、表面上は例年と変わらないように見えた。中国全土から集まった3000人近い代表は、天井に巨大な赤い星が描かれた人民大会堂内の大講堂に着席した。初日の5日、李首相は中国版の一般教書演説のような政府活動報告を行った。
中国全人代 「沈黙は雄弁」を実践
政府の見解と経済の実態との差が広がる中、当局者は厳しい質問を回避
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