ケビン・ウォーシュ元FRB理事トランプ大統領は次期FRB議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名すると公表した Photo:REUTERS/AFLO

FRB次期議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名するとトランプ大統領が公表した。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「中央銀行総裁の役割」。ウォーシュ氏の議長就任は、FRBの金融政策にどんな影響を与えるのか。

パウエル議長の後任にウォーシュ元理事指名
世界金融危機ではウォール街との調整役に

 ドナルド・トランプ米大統領は1月30日、FRB(米連邦準備制度理事会)の次期議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名すると公表した。

 ウォーシュ氏は米スタンフォード大学を卒業後、米ハーバード大学のロースクールで法務博士号を取得。米金融大手モルガン・スタンレーのM&A部門などで働いた後、ブッシュ政権下の2006年にFRB理事に指名され、11年まで務めた。35歳での理事就任は史上最年少だったことで話題になった。

 当時のFRB議長はベン・バーナンキ氏で、ウォーシュ氏は08年の世界金融危機時に、FRBとウォール街との調整役として危機対応に当たったことでも知られる。

 ウォーシュ氏の指名前から、トランプ大統領によるジェローム・パウエルFRB議長への批判の激しさは増していた。だが、株安や長期金利高といった金融市場への影響は表れていなかった。これはもとより、FRBは政府からの独立が連邦準備法によって保障されているため、トランプ大統領の要求している早急な金利引き下げなどはないと安心しているからである。

 そして、ウォーシュ氏の指名公表後も、顕著な高騰が目立っていた金・銀相場の下落はあったものの、株式市場は大きな変動を見せていない。

 利下げに前向きとされるウォーシュ氏の指名で、中央銀行の独立性が再度議論になっている。そこでまず、FRB議長などの中央銀行総裁の役割を振り返ってみたい。