人間とは本心とかけ離れたことを
言ったりしたりする生き物
あなたはいつも、本心から言葉を発していますか。
自信を持って「はい」と答えられる人は、少ないのではないでしょうか。
人間関係を円滑にするための方便、お世辞、謙遜など、様々な場面で本心ではない言葉を口にしているはずです。
コミュニケーションの一環としてだけではありません。人間は対人関係をより有利にするために、本心とはかけ離れたことをいう場合があると明かした心理学の実験があります。
テキサスA&M大学のシャーレン・ミューレンハードは、610名の女子大学生に、男性から誘われたとき、「気持ちとしてはOKでも『ノー』といったことが一度でもありますか?」と聞いてみたのですが、なんと39.3%の女性が「はい」と答えました。約4割もの女性が本心とはまったく逆のことをしたことがあるというのです。
ミューレンハードは、どうして断ってしまうのかの理由も尋ねてみました。
90%の女性は「軽い女だと思われたくないから」と答えました。
また、「じらすことで、もっと自分に気を引きたいから」と答えた人は75.7%もいました。
ミューレンハードの研究では、調査対象者が女性だけでしたが、男性について調べても、同じような結果が得られたかもしれません。
男性でも、本心では「OK」といいたくとも、いろいろな理由で「ノー」といってしまうことはよくあるものです。
たとえば友人や同僚から飲み会に誘われたとき。本当は飲みにいきたい。しかし、前回も前々回も喜んで参加してしまった。このままでは、「飲み会を絶対に断らない暇なやつ」と思われてしまいかねない。逡巡のすえ、誘いを断る……。
自分を下に見られたくない。
そんな思いが働き、本心とは逆の反応をしてしまうのです。
もし身に覚えがあったら、逆のパターンを考えてみるとわかることがあるはず。
だれかを誘って断られたとき。
だれかをほめても意外と喜んでくれなかったとき。
相手の反応に一喜一憂してはいけません。本心とは逆の反応であることも間々あるのです。
「今日はそういう気分なんだね」
くらいに軽く受け止めて、引きずらないようにしましょう。