1989年末から2011年末にかけて生じた不動産・
金融資産のキャピタルロスの累計額

失われた30年の諸悪の根源「バランスシート不況」は終焉、舞台は日本から中国へ1989年末から2011年末にかけて生じた不動産・金融資産のキャピタルロスの累計額 *内閣府「国民経済計算」を基にみずほ証券試算

 日本の「失われた30年」の原因は何か。このテーマはいまだに百家争鳴の状態だ。しかし、「バランスシート不況」に大きな影響力があったことは、広く認められている。

 何しろ、バブル崩壊に伴い不動産、株式などの資産価格が暴落した結果、日本全体が時価評価を通じて喪失した国富は3380兆円に上る。この膨大な資産残高減少(バランスシートの毀損)を穴埋めすべく、企業は投資や雇用を削減し、家計は消費を減らし貯蓄率を高めることでバランスシートの修復を企図した。このバランスシート不況こそ、日本経済が慢性的な需要不足によるデフレに陥った根源的な要因であったことに疑いの余地はない。

 これには続きがある。アベノミクスやコロナ相場を経て資産価格が高騰し、日本企業はバブル期を超える純資産を保有するに至った。