『バービー』ライアン・ゴズリングの
「新しいけどフォーマル」な着こなし

 まずは、『バービー』で助演男優賞にノミネートされていたライアン・ゴズリング氏。

 この映画は、セットの塗装のため世界中でピンクの塗料が品切れになったといわれるほど、テーマカラーのピンクがこれでもか!と使われた作品でした。

 ゴズリング氏も、本作のテーマカラーであるピンクを装いにプラスしていました。

ライアン・ゴズリングライアン・ゴズリング氏がプラスした「ピンク」はどこ? Photo:Jeff Kravitz/GettyImages
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 同伴しているお母さまのバッグがピンクなのは一目瞭然ですが、ゴズリング氏のコーディネートのどこにピンクが…?と思われる方もいるかもしれません。よく見てみてください。実は、靴下!

 ピンクは今でこそ女性性を表現する色として使われることが多いですが、中世では、その染料の希少さから、上流階級の男性が好んで着た高貴な色と言われています。

 母と一緒にアカデミー賞のレッドカーペットを歩くだけでも親孝行だというのに、こうして隠れたリンクコーデをするあたり、さすがは世界の女性のハートをわしづかみにするライアン・ゴズリング氏ですね。

 彼の着こなしの注目ポイントは、作品と関連したメッセージ性あるピンクだけではありません。

 現在、若手ファッショニスタの間でパーティースーツの着こなしの定番になりつつある、ノーネクタイのフォーマルスーツにも注目です。

 華やかなパーティースーツではこれまで、伝統的にネクタイ、場合によっては蝶ネクタイを用いた気取ったスタイリングが好まれてきました。

 しかしながら、Z世代を中心に、リラックスしたこなれ感あるスタイリングが主流の昨今、ノーネクタイでシャツのボタンを開けるスタイルも定番になりつつあります。

「Tieless(タイレス=ネクタイなし)」どころか、「Shirtless(シャツレス=シャツなし)」のフォーマルスーツも見受けられるほど。第3ボタンくらいまで胸をはだけたゴズリング氏の着こなしも、シャツレスに比べればかしこまったものです。

 ゴズリング氏着用のスーツは、タキシードのフォーマットで仕立てられたドレープが美しい、ウールシルクブレンドのものと思われます。

 輝くラインストーンが襟部分に散りばめられたショールカラーのジャケットと、パンツには同じくキラキラの即章(サイドライン)が入っています。デフォルメしているとはいえ、しっかりとした、タキシードプロトコルにのっとったブラックフォーマルです。