2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はエムスリー、LINEヤフー、楽天グループなどの「ITサービス」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
楽天モバイルは赤字改善
LINEヤフーはグループ再編
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下のITサービス業界5社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(5社はいずれも23年10~12月期)としている。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・エムスリー
増収率:1.4%(四半期の売上収益634億円)
・LINEヤフー(旧・Zホールディングス)
増収率:4.7%(四半期の売上収益4705億円)
・楽天グループ
増収率:3.3%(四半期の売上収益5801億円)
・MonotaRO
増収率:11.8%(四半期の売上高671億円)
・メルカリ
増収率:9.0%(四半期の売上高481億円)
ITサービス業界の5社は、いずれも前年同期比で増収だった。
ITサービスの中でも、その業績の動向が注目されているのが、楽天グループだ。モバイル事業の不調が指摘されてきたが、赤字が改善傾向にある上に、楽天銀行などフィンテック事業も好調にみえる。今の実態はどうなっているのか。
また、LINEヤフーも23年10月にグループ内再編をしたばかりだが、営業利益・純利益共に2桁減益となっている。何が起きているのか。
次ページ以降では、各社の増収率の推移と併せて、楽天とLINEヤフーの現状について解説する。